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崩壊に向かうイラン・革命政権―鍵を握るイスラエルとアメリカ・トランプ政権

NPO法人サラーム会会長 小林育三

電子季刊紙 Salaam Quarterly Bulletin, 2026年2月, 冬季号より


抗議デモで閉店した商店、2025 年12 月30 日テヘランのグランドバザールで撮影の提供写真

抗議デモで閉店した商店、2025 年12 月30 日テヘランのグランドバザールで撮影の提供写真

昨年末28日、イランの首都テヘランのグランドバザールが抗議の為一斉にシャッターを閉じた。理由は米国による経済制裁(特に原油輸出の制限)による通貨暴落に伴う財政難が引き起こした食料品の高騰は宗教政権を支持してきた商業層にまで打撃が及んだ。
貧困層から始まった抗議デモは学生、労働者、商人に止まらず教師、看護師等公共労働者までに及んでいる。年初の数日間で主要都市に加え地方都市でも大規模な抗議デモが発生し、累計数十万人に達したとされる。
2017年の年末に起きた抗議運動は「パンと仕事と自由を」というスローガンが掲げられたがバザール商人の参加は見られず2週間で沈静化した。2019年に起ったガソリン価格1.5倍への急騰、更に1か月60リットル以下それ以上は3倍の価格とした。引き上げに抗議したデモの一部が治安部隊と衝突した。有力産油国であるイランは世界で最も安いガソリン価格を維持してきたが、第一次トランプ政権時、核合意離脱に伴いイランの原油輸出に対する制裁が科されたためイラン経済が厳しい状況に追い込まれた為であった。2022年から2023年にかけてクルド人のマフサ・アミニ氏の死をきっかけに始まった「女性・生命・自由」をスローガンとした抗議活動は80%を越える体制批判となり、社会的影響は拡がった。しかし体制を揺るがす抵抗運動とはならなかった。

首都テヘラン北西部のカージ広場での抗議行動。抗議者の1人が、1979年のイスラム革命で追放されたかつての国王の息子で、現在はアメリカで暮らすレザ・パーレヴィ元皇太子の写真を掲げている(9日)(写真キャプションはBBC NEWS Japan 2026年1月13日)

首都テヘラン北西部のカージ広場での抗議行動。抗議者の1人が、1979年のイスラム革命で追放されたかつての国王の息子で、現在はアメリカで暮らすレザ・パーレヴィ元皇太子の写真を掲げている(9日)(写真キャプションはBBC NEWS Japan 2026年1月13日)

今回の抗議デモは反政府デモとして既に3週間になろうとしており、抗議の火の手はイラン全土31州の内27州、300箇所に燃え広がっている。
イラン情勢は今後どう進むのか?現体制は崩壊するのか?筆者はガザ戦争の延長・拡大の中で弱体化したイランの状況を加味して現在のイラン反体制抗議活動の今後を予測したい。

2024年、弱体化したイラン革命政権

1)ヒズボラとシリアに拠点を置くイラン革命防衛隊コッズ部隊を失ったイラン

イスラエルは2024年4月、在シリアのイラン大使館隣の領事館をピンポイント空爆し、シリアのシーア派民兵を指揮指導してきたイランのイスラム革命防衛隊コッズ部隊の国外作戦最高幹部ザヘディ准将と副将他5名の将官が殺害した。

写真)BBC NEWS JAPAN 2024年4月2日「シリアのイラン公館に空爆、軍高官の死者多数 激化続く紛争」動画のスクリーンショット「隣のイラン大使館には被害が無かった」

写真)BBC NEWS JAPAN 2024年4月2日「シリアのイラン公館に空爆、軍高官の死者多数 激化続く紛争」動画のスクリーンショット「隣のイラン大使館には被害が無かった」

イラン革命防衛隊コッズ部隊最高幹部フアド・シュクル指揮官は2024.7.30、IDF による氏の自宅アパート空爆により死亡。

イラン革命防衛隊コッズ部隊最高幹部フアド・シュクル指揮官は2024.7.30、IDF による氏の自宅アパート空爆により死亡。

5月にはハメネイ師の後継とされた強硬派ライシ大統領がヘリコプター墜落事故で死亡、7月の大統領選挙でペゼシュキアン氏が当選した。7月30日の新大統領就任式に招かれたガザの最高指導者ハニヤ氏は就任式に出席した。その夜革命防衛隊が管理する宿泊施設にもどりハニヤ氏は部屋に仕掛けられた高性能爆破装置が起爆され爆殺された。ハニヤ氏はハメネイ師が一貫して支援してきた人物であった。
同日7月30日、イスラエル軍(IDF)はレバノン首都ベイルートを空爆し、ヒズボラの最高幹部フアド・シュクル氏を殺害した。フアド・シュクル氏はナスララ師の上級顧問であり、イラン革命防衛隊コッズ部隊の最高幹部であった。彼は1983年ベイルート米海兵隊宿舎爆破事件(米兵241人死亡)の中心的役割を果たした人物であった。
ガザ戦争を通しイランはヒズボラというイランの手足を失った。ヒズボラは世界最強の非政府軍事組織と言われレバノンの正規軍の管轄下に収まらず、独自の判断つまりイラン革命政権の意向に沿って行動してきた。ガザ戦争が始まるや直ちにハマスと連携・支援しイスラエルへの攻撃を繰り返した。
その後イスラエル軍(IDF)の攻撃によりヒズボラは大打撃を受け2024年11月27日、イスラエルとレバノン政府は停戦合意に踏み切った。合意の背景は明らかにヒズボラが壊滅的打撃を受けたからであり、レバノン政府としてヒズボラを管轄下に置くことが出来るとの公算の下での合意であった。イスラエル・ネタニヤフ首相は「ヒズボラの枢軸の要であるナスララ師を排除し、ロケットやミサイルの大半を破壊し、何千人ものテロリストを死に至らしめ、イスラエルとの国境に隣接する地下テロ・インフラを取り壊した」とその成果を強調した。

ネタニヤフ首相は2024.9.26、国連演説直後にヒズボラ本部へのミサイル発射を指示した。IDF が発射したミサイルは地下貫通爆弾とされ、レバノンの首都ベイルートにあるヒズボラ本部に命中、地下にいたナスララ師とともにいたヒズボラ最高指導者・幹部多数が死亡。ナスララ師の後継者とされた師の従兄弟も死亡した。

ネタニヤフ首相は2024.9.26、国連演説直後にヒズボラ本部へのミサイル発射を指示した。IDF が発射したミサイルは地下貫通爆弾とされ、レバノンの首都ベイルートにあるヒズボラ本部に命中、地下にいたナスララ師とともにいたヒズボラ最高指導者・幹部多数が死亡。ナスララ師の後継者とされた師の従兄弟も死亡した。

2)イランの防空システムは丸裸

ヒズボラの最高指導者ナスララ師の死亡、イラン革命防衛隊コッズ部隊の最高幹部フアド・シュクル司令官の死亡などを受け、イランはイスラエとの全面的交戦状態に突入した。イランは2024.10.1、イスラエルへ向け弾道ミサイル180発発射した。その中には極超音速ミサイルも含まれていたという。迎撃にはアメリカの駆逐艦も加わり、大きな被害は出なかった。バイデン大統領は「攻撃は失敗し、効果は無かった」と発表、ネタニヤフ首相は「イランは重大な間違いを犯した、代償を払うことになる」と述べた。
2024.10.26、イスラエルはイランの弾道ミサイル攻撃への報復として120機によるイラン空爆を実施、イランのロシア製防空システムS-300、対空砲、弾道ミサイル用燃料を生産する主要工場といった軍事施設の攻撃を行った。全機がイスラエルに無事帰還したという。S-300レーダーは4月にも攻撃・破壊したが、10月の攻撃でS-300 システム3基全てを破壊したと報じた。
米政府高官は「イランは実質的に丸裸の状態」になり、将来の空爆に対して非常に脆弱になった、との見解を示した。

2025年のイスラエルの「12日間戦争」とアメリカの「真夜中の鉄槌」作戦

1)イスラエルの12日間戦争

ネイランの高濃縮ウラン貯蔵量の増加を示すIAEA の報告書(図表はBloomberg2025.6.1 より)

イランの高濃縮ウラン貯蔵量の増加を示すIAEA の報告書(図表はBloomberg2025.6.1 より)

2024年末時点でのガザ戦争の状況は、ハマスを壊滅し人質の奪還交渉を残すのみとなった。レバノンではイスラエルによって壊滅的打撃を受けたヒズボラ軍はレバノン正規軍のサヤに収まるしかなく、政治部門のヒズボラは2025.1.13、新首相にサラム氏が任命されると政治的にも影響力を失った。その事が示すように2024.11.27のイスラエルとの政治的停戦合意はより確かなものとなった。一方シリアに誕生したシャラア暫定大統領にたいしイスラエルは彼の出自に強い不信を抱いてはいるものの新生シリアの内政安定化に数年間は費やすであろうと予測できるため、その動向を監視するだけでいい。
そこに2025年明け1月に発表されたのがIAEA国際原子力機関の報告書で、「イランの一部施設での高濃縮ウランの備蓄量が過去最大規模に達している」との警告だった。イランの高濃縮ウランのパーセントは6か国核合意の最重要部分であり、トランプ大統領が合意離脱の理由とした箇所であった。このレッドラインを貫くトランプ大統領はイランとの積極的協議を進める事になった。しかしIAEAの5月末の報告はイランがアメリカとの交渉を裏切る内容であった。6月1日のBloombergの報道は、「IAEAの報告書によると、イランの高濃縮ウランの貯蔵量は過去3カ月で約50%増加し、409キログラムに達した。イランが選択すれば、核兵器約10発の中核部分に相当するレベルに短時間で濃縮できる量だ。IAEAのグロッシ事務局長は報告書で、『高濃縮ウランの急速な蓄積は深刻な懸念事項だ』と指摘。『IAEAは、イランの核計画が完全に平和目的であるという保証を提供できる状況にない』と」

日テレNEWS Youtube からのスクリーンショット

日テレNEWS Youtube からのスクリーンショット

イスラエルの「ライジング・ライオン」作戦

イスラエルは2025.6.13、作戦名「ライジング・ライオン」を開始。
ネタニヤフ首相は「イスラエルの存亡を脅かす明白かつ差し迫った脅威」であり、「イランの侵略からアラブ近隣諸国を守る」と述べた。
イスラエルは自衛権とIAEAの報告を名分として湾岸の大義を掲げてイランへの先制攻撃に踏み切った。その目標はイラン軍と核開発の最高要人殺害であり、核施設への攻撃であった。イラン軍の参謀長官モハンマド・ハゲリ氏、イラン革命防衛隊(IRGC)最高司令官のホセイン・サラミ氏。氏はソレイマニ前司令官の後継として2020年に昇進した対イスラエル強硬派。アミール・アリ・ハジサデ氏はIRGCの航空宇宙軍司令官で、2024年の4月と10月に於けるイスラエルへのミサイル攻撃の指揮を執った人物とされる。
又、フェレイドゥーン・アッバシ氏は核科学者であり、イラン原子力機関の長を務めた後、国会議員になりイラン核開発の強硬推進派である。8人の科学者も死亡した。

左から)モハマド・ハゲリ軍参謀長、ホセイン・サラミイラン革命防衛隊(IRGC)の最高司令官、アミール・アリ・ハジザデIRGC の航空宇宙軍司令官、フェレイドゥーン・アッバシ核科学者(写真は2025.6.14 BBC NEWS より)

左から)モハマド・ハゲリ軍参謀長、ホセイン・サラミイラン革命防衛隊(IRGC)の最高司令官、アミール・アリ・ハジザデIRGC の航空宇宙軍司令官、フェレイドゥーン・アッバシ核科学者(写真は2025.6.14 BBC NEWS より)

2)2025.6.21アメリカのOperation Midnight Hammer「真夜中の鉄槌」作戦

画像はYAHOO!JAPAN ニュース/エキスパート2025/6/23(月)03:18より

画像はYAHOO!JAPAN ニュース/エキスパート2025/6/23(月)03:18より

イランはアメリカ・トランプ大統領の提示した核合意を受け入れるべきであった。トランプ大統領の真意を受け入れるべきだった。レッドラインはアメリカ側が持っているのでイラン側にそれを譲歩させる正当性はなかった。イラン革命政府は読み誤った。
「真夜中の鉄槌」作戦は6月21日、イラン時間01:40-02:05(日本時間21日、07:40-08:05)に実施された。
この所要25分間は、世界最大のバンカーバスター(地下貫通爆弾GBU-57)14発(フォルドゥに12発、ナタンツに2発)がB2ステルス爆撃機7機から投下された時間である。
地図上の赤印は上からフォルドゥ、ナタンツ、イスファハンの核施設の位置を示している。イスファファンにはアラビア海の原子力潜水艦から巡航ミサイル・トマホーク20発以上が投下されたと発表された。

3)トランプ提案20項目のガザ和平案、国連安保理で採択―ロシア・中国は棄権

2025年9月にトランプ大統領の発表した「ガザ紛争終結のための包括的計画」(20項目の和平案)は2025.10.13、エジプト東部シャルムエルシェイクで米、エジプト、カタール、トルコの仲介によって、イスラエルもハマスも基本合意した。具体的文書「パレスチナ自治区ガザ和平に関する文書」として進んだ。署名後トランプ大統領は「ガザ戦争は終わり、復興が始まる」と表明した。

トランプ大統領

トランプ大統領

20項目ガザ和平案の主なポイントは、①即時停戦と人質解放②イスラエル軍の撤退③ハマスの統治排除(ハマス及び関連組織をガザの統治・軍事・治安に関与させない④非軍事化(ガザ地区の武装解除;武器生産施設の破壊、トンネルの無効化:を第三者機関の監視下で行う)⑤暫定統治体制の確立(国際機関の監視下で暫定的なガザ統治枠組を構築)⑥住民の権利と債権(住民の避難・帰還の自由を確保し、国際支援による再建を行う)現在④が進行中と見做されている。
2025.11.17、この20項目ガザ和平案は国連安保理において賛成13棄権2で採択され国連決議2803号として承認された。
ここでイランと軍事的に関係の深いロシア、経済的に関係の深い中国の2か国が棄権した。拒否権を発動しませんでした。中東和平の本命に、ロシアと中国は主要プレイヤーとしての役割を行使する地位も力も無いからだ。一方半年前まで中東に陰に陽に影響力を発揮し、恐れられてきたイランの影響力は消え去った。アメリカを中心として、仲介国と20か国余りがその和平と今後の建設に協力する枠組が形成されたからだ。

イランの今後

以上、中東情勢の流れと現状を眺めるとき、イラン国民は、革命政権が国民に対して抑圧的でしかも経済的困窮を解決できない現状、にもかかわらずアメリカを大悪魔、イスラエルを小悪魔と敵視する現政権の国是は世界の現実から乖離し、時代の流れに逆行する非平和的認識であると気付いたのです。
体制崩壊は常に内部から始まります。現下のイランも例外ではないでしょう。‘国外からの一押し’ の鍵を握っているのはトランプ大統領であることは間違いないのです。したがって平和を創り出そうとするトランプ大統領の信仰・信念はその‘時の到来’ を誰よりも正確に選び決断することでしょう。


過去の記事

2025年11月1日 船出したシリア新生の道
2025年8月1日 トランプ政権と中東情勢―イランが弱体化、複雑化する地域秩序
2025年5月1日 トランプ政権を迎えて中東の平和は進展するのか?
2025年2月1日 ‘テロとの戦争’ を克服して始まる建設の道(下)
2024年11月1日 ‘テロとの戦争’を克服して始まる建設の道(上)
2024年8月1日 真の平和を希求するクウェート
2024年5月1日 クウェートとの絆を結んだ三陸鉄道
2024年2月1日 過激イスラムと左派思想が煽る反ユダヤ主義
2023年10月18日 「ハマス」の大規模テロは、パレスチナのためにならない
2023年8月1日 英国のTPP加入承認とシックス・アイズ
2023年5月1日 サウジアラビア主導のアラブ諸国
2023年2月1日 平和国家の信頼を獲得した日本
2022年11月1日 平和を希求する湾岸諸国とイスラエル
2022年8月1日 日本を世界的平和国家として信認させた安倍晋三元首相
2022年5月1日 新時代の戦争―抑止力強化としてのデジタル戦略
2022年2月11日 日米同盟の深化と拡大こそ中国共産主義戦略克服の道
2021年11月11日 日FOIP(自由で開かれたインド・太平洋構想)の実現に向けた日本の具体的な取組例
2021年8月11日 中東平和と日本—湾岸戦争後30年の節目にあたって
2021年5月11日 世界的支持を拡げる‘自由で開かれたインド太平洋安保’
2021年2月11日 第二の原子力時代の門を開くトリウム熔融塩炉
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2020年8月11日 中東への本格的平和外交に 船出すべき日本(下)
2020年5月11日 中東への本格的平和外交に 船出すべき日本(中)
2020年3月11日 中東への本格的平和外交に 船出すべき日本(上)
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2019年8月11日 原油価格をめぐる状況
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2018年8月11日 2020年小学校プログラミング教育必修化へ本格発進
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