201305

イラク戦争の功罪

電子季刊紙 Salaam Quarterly Bulletin, 2013年5月, 夏季号より
ワシントン 久保田秀明

ヘーゲル国防長官(左)とデンプシー統合参謀本部議長
2014年度の国防予算要請と削減がもたらす影響について記者会見で説明するヘーゲル国防長官(左)とデンプシー統合参謀本部議長

米国のオバマ大統領は2011年12月14日にイラク戦争の終結を宣言し、同19日に米軍部隊のイラクからの全面撤退が完了した。オバマ大統領は2014年末のアフガニスタンからの米軍部隊完全撤退を目標に、アフガニスタンでも兵力削減を着実に進めている。これにより、ブッシュ前政権で開始されたアフガニスタン、イラクへの軍事介入が一段落する。しかし、本当にアフガニスタン、イラクの問題は解決に向かうのだろうか。

治安を度外視した米軍イラク撤退

2008年に米国とイラクは、戦争の人的、経済的負担を早く軽減したい米国政府と選挙を控えて米軍占領終結を訴えたいイラク政府の政治的思惑をもとに、2011年末に米軍を完全撤退することで合意した。この撤退スケジュールは専ら米国、イラクの政治的判断が優先されて決まったもので、イラクの治安部隊が本当に独力で治安を維持できるのかという肝心の点は度外視されたと言っていい。

(続きは、電子季刊紙 Salaam Quarterly Bulletin, 2013年5月, 夏季号にて…)