過激組織ISISの「イスラム国」樹立宣言後1年

ISISがカリフを押したて「イスラム国」の樹立宣言をなした2014年6月29日から1年が経過した。ラマダン(断食月)初日を期しての’樹立宣言’、ラマダン入り初の金曜礼拝でアブバクル・バグダディ自身が説教。イラク第2都市モスルのモスク金曜礼拝での’カリフ’登壇は、イスラム社会における鮮烈なデビューでありイスラム社会へ衝撃が走った。
欧米諸国は中近東地域の国境線が液状化するのではないか、との衝撃をうけた。
今年は、ラマダンに入って早々6月26日に3カ国での同時的多発テロが発生。3カ国のテロの関連については調査段階であるものの、ISが「ラマダン中に敵を攻撃して殉教せよ」とする音声声明をネット上に掲載していることから、ISの指示、あるいは影響を受けたものであることに間違いない。
過激派組織「イスラム国」に対する国際的包囲網の成果と今後の課題、と題して季刊サラーム15号が発行される。
(詳しくは15号発売時のサラーム会ホームページを参照)
上記のテロ事件を過小評価する者ではないが、うがった見方をすれば過激組織「イスラム国」はイラク内、シリア内での戦闘に精一杯で、戦闘員を外国に派遣する余裕はなかったのではなかろうか。加えて「イスラム国」外への一番の抜け道となっていたシリアとトルコの国境地帯の支配を失った事により、戦闘員の海外流出、海外からの流入は大幅に阻止されてしまったと思われる。
最近興味深い記事として「イラクやシリアで活動する過激組織イスラム国に加わった戦闘員を離脱させるため、元過激派のエジプト人男性がインターネット上で懸命の説得を続けている。試みが奏功し、既にエジプト人50人が同組織を離れ、帰国を果たしたという」(アレクサンドリアエジプト時事)を紹介している。(M)

池内恵教授Foresightに寄稿「イラク・モスルにカリフが姿を現す」

イスラム思想を専門とする東京大学先端科学技術研究センター准教授が国際情報サイト「Foresight(フォーサイト)」http://www.fsight.jp/27766に「イラク・モースルにカリフが姿を現す」と題して寄稿した。
ISISが「カリフを最高指導者とする政教一致のイスラム国家樹立を宣言」し、「イスラム国」の指導者アブバクル・バグダディ容疑者が「カリフ」に指名された、と報じられた(アルビル(イラク)時事)のはつい10日程前である。
この出来事は世界に衝撃をもたらした。折りしもウクライナでの内戦が回避される見通しに期待が高まるムードを打ち消すかのように、中東イラクでの内戦は不可避となるのではないか?との暗い予感を与える出来事だ。
池内准教授のForesightではアブバクル・バクダディの演説と人物、ISISの宣言した「イスラム国」の意味、アルカイダとの関係等について詳しく解説している。
是非上記ForesightのHPに訪問していただきたい。

Thanks to coments

I appreciate your comments on this issue.

Middle East is swiftly changing in recent years and facing historically piled
up issues difficult to be understood by others living in other areas.

We would like to contribute to make people understood correctly on ME situatio
n without any prejudice and promote peaceful relations between ME and Japan.

Thank you very much.

テレビ東京6月17日中東クウェートSP

日本とクウェートとの知られざる絆についての特集。クウェートからの義捐金による三陸鉄道の復旧と新車両の映像、50年前日本を訪問した青年をクウェートで現地TVで捜査し、発見、72歳。日本で接待した人は御年98歳、元気なおじいさん、そしてクウェートのレストランで働く日本人食料理人。いずれも興味あるユニークな内容でした。この番組をみた人はクウェート人の人間味を感じることができたのではなかろうか。

サバーハクウェート首長GCC議長国としてイラン訪問

GCC(湾岸協力会議)は1981年5月、サウジ、クウェート、オマーン、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、カタールの6カ国で設立された。イラン・イラク戦争勃発直後、ペルシャ湾の安全を懸念しての設立であった。当時湾岸諸国は、イランイスラム革命の湾岸諸国への革命輸出に脅威と懸念を抱いていた。一方「アラブは一つ、反米反イスラエル」を掲げナセル後の汎アラブ主義再興を目論むサダム・フセインは、湾岸諸国に要請されたかの大義を装いイランへの戦争を始めた。イラン・イラク8年戦争後、湾岸戦争、9,11、イラク戦争、アラブの春、イランの核疑惑、シリア内戦と続き、30余年が経過。
今回の会議が、「穏健スンニ派を代表するGCC国家群VSシーア派を代表する過激国家イランとの構図」での見方に修正が必要となる、建設的な話し合いがなされることを期待したい。