201308

クウェートの英雄サラ・アクバル女史 来日講演 (上)

(クウェートエナージーカンパニーCEO)

電子季刊紙 Salaam Quarterly Bulletin, 2013年8月, 秋季号より
サラーム会会長 小林育三

クウェートで 英雄として有名なサラ・アクバル女史が来日し、7月6日東京と8日広島で「世界を変える女性たち~被災を超えて復興へ」と題し講演した。

湾岸戦争時イラク軍は サダムフセイン大統領指令のもとクウェートの油井を爆破して退却した。クウェートにある 700の油井は轟轟と燃え上がり真昼の2時でも真っ暗となり車はライトを照らしても30㍍の視界であった。消火に当たった米国のレッドアデア社は、「すべての油井を鎮火させるには4、5年以上かかりかねない」との見通しを示した、と 報道された。

必死な消火活動により9カ月ですべての油井は鎮火された。予想をはるかに上回るスピードでの鎮火の裏には消火活動の立役者サラ・アクバル女史の活躍があった。

サラ・アクバル女史の講演内容:

サラ・アクバル女史講演会
サラ・アクバル女史講演会

今日私がお伝えしたい事は、イラクがクウェートを侵略した時に、若い石油技術者として私が経験したこと、そしてその経験が私の人格形成と私のキャリア形成にどのように影響を与えたかということです。

まず初めに、1990年のイラク侵略まで油田の現場で働いていたクウェートオイル社(KOC)でどのように私が技術者になったのかという事をお話し致します。それからイラク侵略のこと、その間行った油田消火活動のこと、どのように感じ、どのように生き延びたのか、そしてどのように職場に現れ、国のために働いたのかということをお話し致します。

サラ・アクバル女史と外国人の専門特殊消火部隊員
サラ・アクバル女史と外国人の専門特殊消火部隊員

女性の技術者として
 KOCでは、非常に体系的な訓練プログラムがあります。入社すると、2年間に亘って、様々な部所を渡り歩きます。これを「発展途上訓練」とよんでいました。私はまず地質部所に配属され、大変気に入りました。科学が大好きでした。私は当初から大変献身的に働きました。早く学び、できるだけ早く仕事内容を理解したいと考えていました。2年間の訓練期間の最後に配属されたところが石油部署でした。そこで掘削訓練を受けました。自ら進んで掘削士になるための現場訓練を3カ月間受けました。この訓練は男性を対象とするものでしたが、掘削士に与えられた訓練課程に参加した女性は私が初めてでした。

(続きは、電子季刊紙 Salaam Quarterly Bulletin, 2013年8月, 秋季号にて…)